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ユーロ、ギリシャ国債は押し目買いのチャンスなのか!?
2010/06/25 12:44
昨日は、連休中唯一休暇を頂きまして、東京大学の本郷キャンパス内を散歩しました。久しぶりの三四郎池には、オタマジャクシは居らず、鴨と亀と鯉が我が物顔で群れ遊んでいました。「亀釣り」を楽しむ親子連れと、東大病院の患者さんたちや見舞いの方々に囲まれた長閑で平和な昼下がりでした。安田講堂も然り。70年安保やら全共闘から40年(以上)たった現在も聳えるその名建築は、さながらにして「兵どもが夢のあと」と言わんばかりの、初夏の陽気に包まれておりました。
さて、そこから無理矢理、普天間の話にもっていこうとしているのではないのです。安保闘争や米騒動のような草の根の実力行使、平たく言えば暴力に訴えた革命志向というのは、わが国においては随分と過去のものになった。という思いを、債務問題で全く落ち着きを見せないギリシャのゼネストを見て考えてしまうのです。
「日本にとっても他人事ではない」「ギリシャ(+ポルトガル+スペイン)の次は日本の番だ」などと、危機意識を煽る政治家が少なくありません。
その主張が正しいとしても、そういうことをおっしゃる政治家に限って、日銀がもっともっと国債を含めた民間市中の資産を買って金融緩和をすべきなのに、サボっているともおっしゃっているのが滑稽なのですが。
仮に、ギリシャの二の舞を日本が演ずることになるとして、IMFなどから、消費税率の急増や公務員給与の引き下げを求められたとして、ギリシャ同様のストライキや暴動が起こるでしょうか?
大衆の行動様式の違いは、国のリーダーの気質の違いと対をなしています。パパンドレウ首相は、同政権が進める財政緊縮措置が「国を救うために導入を決定したもの」とし、「これに代わるものは、破たんのみだ」と述べ、またパパコンスタンティヌ財務相は「多大な政治的代償を支払う用意がある。一歩も後退しない」と述べる(ロイター)など、暴動やそれによる人命犠牲に動じない態度は、鳩山首相に何も限った話ではなく、短命政権を繰り返す歴代首相の八方美人的な軸のぶれ方と対照的に映ります。
ギリシャの過去の政権の腐敗について詳しくない私たちから見ると、ゼネストに参加しているギリシャ国民は随分と往生際が悪いという風に見えます。ユーロ参加のメリット(デンマークがリーマンショック直後にユーロ非参加を後悔していたことを思い出させます)を享受しているのだから、その裏返しとしてのデメリット(通貨発行権【シニョリッジ】の放棄)も甘受しなければならない(ギリシャ国債をギリシャ中央銀行が買い切りオペしてマネタイズするわけにはいかない)ので、ギリシャの救済は、あたかも日本における夕張のような財政緊縮を停止条件とした(財政)金融支援という形を取るほかにないのであります。
場合分けをするならば、
①ゼネストが鎮圧されて、ギリシャ現政権の財政緊縮案が実行され、よってEU、そして9(日)総会の予定のIMFでの融資が決まる。
または
②鎮圧に失敗するなどして、財政緊縮案が破綻し、ユーロ建てギリシャ国債の借り換え【リファイナンス】が失敗⇒ギリシャがユーロ離脱(新ドラクマ導入!?)
となるか、、、
私個人は以下の理由で②の可能性は余り高くないと思っておりますし、その場合もテクニカル的には、ギリシャ国債のデフォルト宣言とユーロ離脱宣言がどういう順番になるかで現実随分変わってくるのですが、ここでは詳述を控えます(ちなみに、ギリシャのユーロ離脱自体は、ユーロ圏の毅然たる態度表明の現れであるので、本来はユーロの買い材料だということも忘れてはなりません)。
EU各国の首脳は、異口同音に、「ギリシャ危機という“山火事”の鎮火を怠ると、火の気のない筈の域内健全国(???)にまで火災が蔓延してしまうから」と、結束を呼び掛けています。しかし、彼らは義憤や同胞愛から本気でギリシャを助けようと発言を繰り返しているのでしょうか。米国やIMFの動きは措くとして、域内の意思決定の鍵を握るドイツでは、議会の承認に苦労しつつも「財政緊縮案の実行を停止条件としたギリシャへの金融支援」の批准に漕ぎ着けた状況です。この金融取引が如何に通常の市場取引よりも有利であるかを考えてみてください。「ユーロが120円を割れそうだ。そろそろ買い場だろうか?」とか「ギリシャ国債が暴落、続落し、利回りが13%を超えた。流石に破綻はないと読むならば、絶好の買い物だろうか?」という設問に対しては、当たるも八卦、当たらぬも八卦としか言いようがないのですが、ドイツが決定した停止条件付き融資というのは、ノーリスク、ハイリターンの取引です。私がもしドイツのリーダーであったならば、ギリシャ国内が大いに揉めて、最後に言いなりの条件で助けてやるという交渉をすれば、貿易黒字の使い道としては最高の運用となるし、また揉めている間のとばっちりとしてユーロ安がありますがこれも国内の輸出産業にとっては、生産拠点を国外に移転させなくても実質賃金を下げることが出来て競争力が増し、製造業の経営者が喜ぶので、一石二鳥なのです。寧ろ、ギリシャが債務不履行に陥り新ドラクマ導入となって美味しい金融取引を取り逃がすやら、国庫や民間金融機関で運用していたギリシャ国債が紙屑になることを嫌がるでしょう。ドイツ以外のユーロ圏の主要国も概ね同じような魂胆であると考えられます。
一言で言えば、現在のユーロ相場とギリシャ国債相場には巨大なインサイダーないし相場操縦が存在しているので、この情報の非対称性を打ち破って無防備に参加をするのは得策でないと思うのです。このような「取引を煽らない」発言は、FX会社の社長としては相応しくないのですが(爆笑)。「それでも相場に参加したいから、売りか買いかどちらか教えてほしい」と言われたら、前述の如く、当たるも八卦、当たらぬも八卦、なのですが、押し目買いの領域に来ているとは思います(対ドル、対円。但し、最下点ではないかも)。

泣いた赤鬼と椿姫と小沢一郎氏
2010/06/08 16:08
「国民のために一生懸命政治をやっており、実績もあがっているのに」と赤鬼クン。「国民が聞く耳を持たない」と嘆いた。それを聞いた親友の青鬼クンは「自分が悪役を演ずるから、君がボクを退治したまえ」と。図ったように人気反騰の赤鬼クンを尻目に、青鬼クンは「これまで通り友達付き合いを続けたら、共犯者だ、悪鬼だと思われるだろう。自分は静かにしている」と家に張り紙を残し、赤鬼クンの周辺から身をくらませる。
犠牲(sacrificio)というのは、犠牲であることを悟られないことこそが本質であり、それが故の悲劇もある。椿姫第二幕のヴィオレッタの犠牲を、空気を読めない恋人アルフレードの悲劇がそれであり、肺病病みの高級娼婦ヴィオレッタが、オペラ史上最もファンを引きつけるキャラクターのひとりであり続ける理由もその一点にあるのでしょう。
さて、以上はありふれたブログ的随想であり、当ブログで繰り返し揶揄している日本の政治の仕掛けを読めない大マスコミに対する皮肉です。遡れば、鳩山前首相の故人献金≒子ども手当問題や小沢前幹事長の同様の「政治とカネ」に関する複数の問題が十分発覚していた昨年の衆院戦後の状況判断として、そのまま参院選まで持つ筈がないというのは多少の想像力を働かせれば判るというもの。そこに来て、普天間の期限を任意に5月末と決めてしまったことを単純に鳩山前首相の愚行と看做してしまうことこそ、殆どのメディア人の知能指数が、実は自分たちの掌の上を転がっているに過ぎないと馬鹿にしている政治家トップクラスの人たちよりも格段に劣ることの証左と言えましょう。
さて、普天間5月末期限という仕掛けとともに、もうひとつ考慮しなければならないのが、戦後の歴代の内閣総理大臣の在任期間であります。左のハイパーリンクから資料をご覧頂くと、日米関係こそが最大の決定係数であることがおわかりいただけると思います。選挙民に対するメッセージとは別に、実質的に日米関係を政策の最重要課題として取り組んだ首相が、在任期間の長い順番に並んでいるのです。
新内閣は、小沢氏の犠牲を忘却の彼方に葬って、米国に魂を売るということはないでしょう。しかし、青鬼くん宅の張り紙が剥がれない間、当面、小泉竹中路線のベクトルへと、或る程度のパラメータが振り向けられることが予想されます。国際金融のテーマもこれありです。南欧~東欧問題に留まる筈のないソブリンリスクの顕現化は、大き過ぎる政府への批判を正論たらしめ、大衆の人気を得てゆくものと考えられます。

菅直人新総理=円安トレンドへの転換、、、と決め込むのは未だ早過ぎる
2010/06/04 11:06
小鳩「刺し違い」はファインプレーだが、、、
民主党の新代表の有力候補である菅直人氏が、円安論者だからとか、草の根政治家だからとかで、鳩山総理辞任発表後の円安を長期トレンドの転換とまで捉えるのは極めて危険です。
大マスコミが何と言おうと、記者クラブに安住する彼ら誰ひとりとして予想できなかった小沢幹事長との「刺し違い」により、政党支持率を盛り返したのは、鳩山氏の超ファインプレーと言えます。但し、参院選後も益々政治の混迷が続くことは避けられない。そして、誰がリーダーになっても決断が出来ない体質は、当面の間は、日本にとって、日本円にとって、売り材料ではなく寧ろ買い材料なのだというのが、先日のブログ リーダーの賞味期限 の論旨でした。
中国のGDP統計は、やはり虚偽の数字なのか?
フェニックス証券の優秀な中国人社員が、とても気になる記事を探して来てくれました。
「国家統計局、監査部、司法部の三大司法省庁は、中国全土すべての地方自治体に対して、GDP統計などの経済指標を集計する際に、虚偽報告をしてこなかったかどうかについて、調査を開始したことが明らかになった。」
中国の中枢から発信されている情報は、ここのところ全て、過熱するホットマネー流入と不動産を中心とする金融相場を意図的に調整しようとするものばかりです。彼らの政策態度は、皮肉なことに、サブプライム以降の英米の政策よりも寧ろ、我が国の80年代バブルの終結にむけての日銀の政策(当時の総裁は三重野氏)や、2005年以降の郵政解散後のミニバブルへ向けての金融庁の政策に近いと言えます。
「円高円安は日本の政治次第」という発想は幻想
中国のバブル退治が、新興国全体の過熱経済をハードランディングさせないかどうか?それと、何ら根本的な解決には至っていないユーロ圏の経済動向が、リスク回避の金融商品として定番化した円の評価を握っているのであって、これらに比べれば国内政治の安定化の帰趨は取るに足らない材料だということを認識しておかなければなりません。

リーダーの賞味期限
2010/05/31 17:21
みずほ、JAL、そして日本
このようなタイトルの論説が各種メディアを賑わすのもそう遠くない日かも知れない鳩山首相の周辺であります。勿論、このブログの趣旨は、鳩山首相の退陣を煽ることではありません。「“政権交代”があったにもかかわらず、、、」という言い方を敢えて控えましょう。“出身政党”は違うのに(元は同じ?)、安倍、福田、麻生、そして或る程度の確率で鳩山と、賞味期限が1年の内閣(総理大臣)が4回も続くかも知れないという《絶望的既視感》は、もはやリーダーひとりひとりの個性や、政党の組織や人材の問題など、特定の原因に帰することが出来ない段階にまで来てしまっております。
メガバンクで言えば、みずほグループ。事業会社で言えば、日本航空。これらの病理が経営者一人の力ではどうしても治癒も切除も出来ないのと同じように、この国の政権中枢もまた、そこ自身の問題だけでなく、選挙制度や国民の気質、そのどうしようもなく低い民度に迎合することでしか生き延びることが出来ないビジネスモデルを知っていて続ける大手マスコミの揚げ足取りと出る杭を悉く打つ戦略、これらのドロドロとした総竦み状態に陥っており、これを断ち切らなければ日本航空と同様に国家が墜落するという危機感と実行力を持つ人材は、そういう性格故に、たとえ政治家を志したとしても、なかなか首相の座までには至ることができない構造にあるわけです。
大統領制、または首相公選制、なら、、、否、少なくとも全国区かつまたは比例代表制を重視すれば、と単純に主張するものではありません。
絶大な支持率を誇っていた英国ブレア首相とポンド相場
拙書“為替力”で資産を守れ のなかでソフトブレーン創業者の宋文洲さんが「安倍さんも福田さんも1年で辞めても日本は大丈夫だ。と思われるから、平気で辞められるんだ。。。日本は世界でも稀な『鼓腹撃壌』を謳歌している住みやすい国だ」という趣旨の発言をしておられます。いつまでそんな天下泰平が保たれるかという問題はありますが、宋文洲さんとの対談の内容には一理あります。圧倒的かつ持続的な人気を背景とした強力な個性のリーダーが、一見眩(まばゆい)い政策を続けた結果、取り返しのつかない禍根を残すという話が、ここのところ私のブログでご紹介した舞台演劇「ザ・パワー・オブ・イエス」で描かれておりました(英国の「新」労働党政権下で進められた「歪んだ」市場原理主義と金融依存、、、それに、演劇の範囲外ですが、イラク戦争も無縁ではありません)。
議員内閣制の英国ですらそうです。トニー=ブレアとゴードン=ブラウンの組み合わせで「17年連続の経済成長を果たした」(上掲「ザ・パワー・オブ・イエス」)英国は、ピーク時のポンドが対円で250円にも達し、円貨換算でロンドンの地下鉄の初乗り運賃が1000円を超えるという、常識で考えれば何か変という状態から、現在為替は「半値」近くになっているのです。英国経済の実態は、南欧経済が他人事と言えない深刻な状況です。
まして、米国の大統領制を真似て、力強いリーダーシップを、と単純に唱えれば良いというものではありません。
鼓腹撃壌と古代ギリシャ
日本の民主主義は、その最も醜いところ、リーダーの支持率下落で御祭騒ぎをすることしか脳のない「衆愚」と大胆な政策が一切取れない「事勿れ主義」が竦み合っている状態であるが故に、致命的に間違った政策も実行されない・・・世界で何か激震が起こると必ず円高になることと無関係ではありません・・・日本円は政府がこれだけ借金をしていても、金利を生まない金(ゴールド)と同様、金融ショックでは最も好まれて買われる「通貨」の位置を確実にしています。
日本はこれから先も、没個性のリーダーを一年毎に更迭し続け、衆愚と事勿れ政治にどっぷり漬かって天下太平をエンジョイして行けるのかどうか?これが難しいところです。今話題のギリシャは、言わずと知れた古典古代に於ける民主主義の原点です。つまりそれは衆愚政治の原点でもあり、それゆえ共和制の崩壊と多民族による支配を経験したのち、近現代のヨーロッパ大陸の中でも、国家の独立と民主政治を勝ち取るまでに最もエネルギーを要した国のひとつに陥ったと言えます。この因果関係は些か強引ですか、現在の日本に住む我々が最も重視しなければならない教訓のひとつでしょう。

もう一度観に行きます!!「ザ・パワー・オブ・イエス」@ザ・スズナリ(下北沢)
2010/05/12 14:27
下北沢の小劇場初体験だった私にとって、批判精神に満ち溢れた燐光群の舞台演劇「ザ・パワー・オブ・イエス」は期待を上回る素晴らしいものでした。
http://www.alles.or.jp/~rinkogun/Next.html
http://www.alles.or.jp/~rinkogun/Next_files/Yes%20ura.pdf
なるほど、英国のナショナルシアター(収容人数800人以上)を半年以上も沸かせ続けた舞台だけのことはあります。
サブプライムローン問題やリーマンショックを扱った舞台演劇の日本語版の難しさは金融という「形の無いもの」を表現することの難しさだけではありませんでした。
我々日本に住んでいる以上は比較的馴染みのある(?)「米国発」の情報(グリーンスパン、ポールソン、ゴールドマンサックス・・・)に比べると、英国市場の登場人物(マーヴィン=キング、ゴードン=ブラウン、スコットランド王立銀行・・・)というのは多少耳に馴染みがある程度であって、彼らがどういう経緯で何が悪かったのかハッキリと思いだすのは難しいものです。
そこで勿論必須ではないのですが、参考になればと思い、七転び八起きブログで、過去にイギリス特有の事情について取り扱った記事を以下にまとめさせていただきます。
2009年3月17日火曜日「中国、外貨準備の運用で巨額損失」
2009年1月22日木曜日「ポンド危機、再び」
2008年10月7日火曜日「臨時ニュース【夕刊】」
2008年9月18日木曜日「♀♂性の起源♂♀」
NHKのドラマ「ハゲタカ」や「監査法人」のように、特定の悪徳企業(?)に関する情報を毎日シャワーのように浴びたあと具体的なイメージを想起させつつエンターテインさせる手法に比べると、脚本家、演出家、そして何と言っても役者さんたちの苦労は甚大です。しかし、単に島国ということだけが共通点ではないという意味で、イギリス事情を探求しつつ、敢えて直訳的に、直球勝負で輸入されたこの翻訳劇を、今の日本で鑑賞することは大変意義深いと思いました。










